松田養鯉場のブログ

当養鯉場の日々の出来事をお伝えできたらと思います。

考察 昭和 その1

皆さんお元気ですね。

巷は連休だと言う事を昨日ニュ-スを見て知りました。

この仕事をしていると祝祭日や曜日に関して鈍感になって来ます。

 

さて本題ですが、昨日販売ぺ-ジに載せた当歳の昭和を題材にしたいと思います。

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皆さんはこの鯉を見てどう思われましたか? 高いなぁ~って感じでしたか?

私としては、本来当才で販売しない鯉です。

私なりにこの鯉を解説すると、まず緋模様から見て行きましょう。

体全体で見ると緋の量は少なく小模様ですね、一般的に考えた場合、小模様は紅が飛びやすい傾向がある事は皆さんもご存じだと思います。

では、この昭和が何故、他と比べてリスクがあるのに高額かと言いますと、理由の一つにはこの鯉の系統、その系統の傾向(どう変化して行くか)を知っているからです。

この昭和の系統の一番の傾向(この場合、特徴)は主に白地に強い墨が出ると言う事です。

皆さん、想像力を働かせて下さい。 もし、この昭和が紅白模様としてバランスの取れた四段模様だったとします。

成長と共に白地に強い墨がガバッと出たらどうなりますか? はい。緋昭和になってしまいます。 それはそれで良いのかもしれませんが、やはり色が三色ある鯉はそのバランスが良い方が良いに決まっています。 大正三色の墨は昭和に比べて小さいので後から墨が出て来ても赤三色にはなりませんが、昭和の墨は大きくなります。 白地に墨が入る傾向のある鯉は特に言えると思います。

皆さん、品評会で大賞を獲っている殆どの昭和は墨模様で魅せている鯉です。

それらの昭和の墨を取って紅白模様としてだけ見た場合、まずクズの紅白です。

これは究極の話ですが、主に白地に墨が出る昭和の系統の場合、理想的に三色のバランスが取れた完成形を目指すとすれば、紅は少ない方が良いと言う結論に達します。

では何故、この世の昭和にそういう鯉が少ないかと言えば、生産者にセンスがないか、又は先程も言った様に小模様は緋が飛んでしまう確率が高いからでしょう。

殆どの昭和の生産者は稚魚の選別の時、紅白模様として良いか悪いかで選別しています。

私もこの事に気付いた時、将来良くなる昭和はいつ捨てられているんだろうと時間を遡って考えてみました。

ハッとしました。 そうか!稚魚選別の第二選目だと。(黒仔選別は除外)

殆どの生産者は昭和であっても稚魚選別時は紅白模様を基準として選別しています。特に二選目では紅白模様としての中羽(良くない模様の意)は捨てられてしまいます。

 

皆さん、誤解しないで下さいね。 じゃあ小模様の昭和ばかり集めれば良いのかと言うとそれは危険です。

皆さん意外と生産者でも自分がどういう鯉を生産しているか分からない人も多いのですよ。

鯉の系統は沢山あります。 でもそれぞれの系統、血統の特徴を明確に答えられる生産者も少なくなって来たと思います。

ましてや一般の愛好家の方が鯉の形、緋質、墨質を見ただけで、その系統を答えられるなど聞いた事がありません。

 

今回、題材にした昭和が何故、本来当才販売にしないのかはやはり昭和は浅黄の血が濃い品種なので他の鯉に比べて緋が飛んでしまう確率が落ちるとは言っても、お薦めするにはリスキ-です。 では何故高額かと言う答えは今回述べた理由からです。

 

今回は、よく本等に載っている鯉の見方とは違う考察になりました。 あくまでも私見ですがこれも経験に基づいた私見ですし、ある部分大きくする事が前提になっている話かもしれません。

逆に皆さんを混乱させてしまうかもしれませんが、鯉って追求して行くと深くて深くて自分一代では無理だろうなぁ~と思ってしまいます。

皆さん、それぞれの飼育スタイルに合った鯉選びを心がけましょう。

 

では、連休中、コロナには気を付けて!!!