松田養鯉場のブログ

当養鯉場の日々の出来事をお伝えできたらと思います。

錦鯉飼育のちょっとしたコツ その1

お久しぶりです。

皆さんお元気ですね。

自粛解除にはなりましたが、日常に戻るにはほど遠く患者数が少ない新潟であっても不便を感じながらの生活が続いております。

私等は仕事上、人との接触が極端に少ない為マスクをする事も無い日々を送っていますが同僚からはひんしゅくをかっているかもと。。。

今回のブログには画像などはありませんが、昨年末より販売の方も一部手掛けていた為少なからずお客様との関わりを持てる事が出来ました。

そんな中、春先の越冬明けの鯉に問題が起こりご相談を受ける事案が多くありました。

そこで、私の経験上からちょっとした飼育のコツをお伝えしたいと思います。

 

特に庭池飼育、屋外飼育しているお客様に。

昨季の冬は特に暖冬だった為か一部の愛好家様は鯉が餌をほしがるので暖かい日には餌を与えたという話をたくさん聞きました。

しかし、いくら地球が温暖化現象で平均気温が上がってきているとはいえ四季のある日本においては暦(こよみ)と言うのは馬鹿に出来ないもので山の草花等を見ていると本当の季節を感じます。

以前にも話したとは思うのですが鯉は体内時計を持っています。

季節外れに暖かい日が続けば鯉は餌をほしがりますが、体内の代謝は眠ったままです。

餌を消化吸収する為にはかなりの酸素量を必要としています。

水温が高く代謝も活発な時は体内に取り込む酸素量も多く必要としますが代謝が上がるにつれて酸素を取り込む力も上がります。

その酸素を取り込む力を10と考えると、その10の力で色々な仕事をまかない体の末端まで酸素を供給しているのです。

しかし、越冬中、春先などは体内の仕事量も減り酸素を取り込む力が3位にまで落ち、体の末端まで酸素を供給する事だけで精一杯になっています。

そんな中、餌を与えてしまうと餌を消化吸収する為に3レベルの酸素を全て使って仕舞う事になるのです。

一度二度なら何とかなるでしょうが、それが続くと体の末端まで酸素が供給されなくなり皆さんもご存じの通り肌に充血が起こるのです。

もっとひどくなると、エラの毛細血管まで酸素が回らなくなりエラの機能が低下することにより、よりひどい結果を引き起こします。

越冬明けの餌の給餌始めで失敗しないコツは天候は関係なく地域差はあるでしょうが自分なりに鯉がどれだけ餌をほしがろうとも5月の連休明けまでは与えない等と決めてしまえば良いと思います。

鯉は越冬する生き物です。 冬は痩せます。春も越冬が明ける2月中旬からは目に見えてもっと痩せて来ます。 でもそれでいいのです。

鯉はお腹が減れば自分なりに苔でも食べてしのいでいます。

そして徐々に体の機能が目覚めていくのです。

例えば、弊社の場合2019年度産の当歳を2歳に立てます。 野池に放した鯉達には6月の中旬辺りから本格的に餌を与え始め10月の中旬には餌を止めます。

秋に池揚げされた2歳の鯉の内、3歳にする鯉のグル-プは秋の池揚げ後、次の年の野池に放流されるまで一切餌を与えられません。

一年の間で四季に沿った飼育方法を選択すると、たったの4か月程しか人が給餌していないのです。

鯉は真冬でも餌を与えれば食べてしまいます。

それが自分を死に追いやってしまう事までは鯉は理解できません。性です。

あなたが鯉が痩せて可哀想と思うやさしさが鯉を死に追いやります。

飼育者にも我慢が必要です。

その代わり夏も終わりの水温が下がりだした時は鯉も越冬準備に入るので餌を出来るだけこまめにたくさん与えて下さい。

一般には生産者でも夏場を給餌のピ-クにする人は多くいますが間違いです。

鯉も夏バテします。

夏の水温が一番上昇している時期は逆に餌を控えるのが正解です。

鯉が一番伸びるのは9月です。そこに給餌のピ-クをむかえる為に夏の暑い時期をうまく乗り越えなければなりません。

夏場に夏バテさせ食欲を落としてしまうと9月にピ-クをもって来れなくなります。

この辺が飼育者の腕なのです。

 

今日は年間の給餌の事だけで長文になってしまいました。

退屈しませんでしたか?

少しでも参考になればよいのですが。

文中で大きくしていく鯉には4か月しか餌を与えないと書きましたが、それにもちょっとしたコツがあります。

明日はその2として、その辺の事を書きたいと思います。

 

 

では、明日。